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大学院(腎臓?体内環境調節内科学)

大学院では、以下のテーマで基礎研究に取り組んでいます。

1. 腎機能障害に伴う血管障害ならびに骨代謝異常の研究

慢性腎臓病における骨ミネラル代謝異常をメインテーマとし、血管石灰化の機序解明を目的とした血管 および骨組織を用いた研究を行っています。In Vitroにおける血管培養による高リン負荷による血管石灰化モデルを用いた石灰化促進および抑制因子の検討を行っており、さらに骨由来のリン利尿因子であるFGF-23の血管および骨組織における発現およびその制御機構に関する研究を行っています。

2. 腎機能障害に伴う筋肉代謝異常並びにサルコペニアの研究

高齢化社会を迎えるわが国にとって深刻かつ重要な研究テーマとして、慢性腎臓病における筋肉代謝異常並びにサルコペニアの基礎研究を行っています。具体的にはin Vitroにおける筋芽細胞培養系を骨ミネラル代謝と筋肉代謝異常とサルコペニア発症機序の検討を行っており、特にリン代謝並びにマグネシウム代謝との関連性を追求しています。

3.腎と免疫研究

カルシウムーリン代謝に重要な役割を果たしているFGF23について、骨細胞以外に、免疫系に関わる重要な臓器である脾臓において形質細胞様樹状細胞が産生し、そのリガンドであるKlothoを成熟したB細胞が発現し、FGF23-Klotho系が免疫にも関与することを、これまで明らかにしてきました。さらに、透析患者の末梢血でKlotho陽性B細胞が減少していることを見出し、このことが腎不全患者における易感染性の原因の一つと考えています。現在、腎不全患者の末梢血B細胞におけるKlotho発現低下の機序について研究を行っています。

4.急性腎障害研究

急性腎障害は医療が進歩した現代においても、未だ予後不良の合併症であり、根本治療は確立されていません。急性腎障害モデルを用い、その回復機構のメカニズムや予防的因子の検討を行っています。また, 水素の急性腎障害に対する軽減効果に関する研究も行っています。

また臨床研究としては、CKD対策、CKD患者予後改善、急性血液浄化、バスキュラーアクセス等をテーマとしています。CKD対策として、腎臓専門施設におけるCKD患者初診時と透析導入時の現状を分析し、適切な時期での紹介を図るための方策に役立てています。CKD患者予後改善へ向けて、石灰化予防、サルコペニア?フレイルとその予後、CKD患者と脂質の役割、保存期CKDの管理と予後等について研究を行っています。急性血液浄化領域では急性腎障害とその予後、濾過膜と予後等について、バスキュラーアクセスでは長期開存に向けて研究を進めています。今後は和歌山県内の多施設で臨床研究を行い、世界に発信していくことに取り組んでまいります。