リハビリテーション医学講座

理念

地域の皆様の健康と福祉に貢献するため、最善の医療とリハビリテーションを提供するよう致します。

基本方針

  1. 患者第一主義で臨床に取り組む
  2. リハビリテーション医学の基礎?臨床研究推進
  3. 優れた医療人とリハビリテーションチームの育成

当教室は小さいながらも近畿、中国、四国地方国公立医科大学(医学部医学科)で唯一のリハビリテーション(リハ)医学講座です。平成17年7月より、少ない医師スタッフながら、救急医学教室のご協力のもと、発症早期からリハ科が主治医となり、治療に当たる体制を導入致しました。これにより、全人的に、全身管理を含めた医療リハ研修が可能となりました。発病?受傷当日からでも適切な全身管理のもと、リハをも含んだ最良の医療が提供できるように今後も努力してまいります。

もちろん、本学は一般の中央診療部門としてのリハ部門も持っておりますので、回復期リハの研修も行えます。リハ医としては、重症?重複障害者に対する急性期リハの知識?技術を身につければ、回復期リハでのリハにも十分対応出来るようになります。症例数も多く、短期間で臨床能力が身に付くと考えます。男女を問わず、将来的にセントラルサービス部門での活躍を視野に入れている方も急性期の経験は重要だと考えます。

上記の理念と方針に賛同され、医師としてリハビリテーション医学を勉強されたいと意欲をお持ちの方は是非当教室にお問い合わせ下さい。

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リハビリテーション医学について

高齢化?少子化の進行と医学の発達が、平均余命の延長と、障害者の増加をもたらしています。したがって、疾病の治療はもちろんのこと、患者の能力と生活の改善に取り組む総合的な医学の必要性が増しています。リハビリテーション医学はその必要性に応えるために生まれた比較的新しい分野の医学です。考え方としては、障害そのものの診断に加え、障害されていない健常部を理解し、健常部で代償することで能力を高めます。

具体的な例をあげます。大腿切断者の歩行障害の治療では、下肢の再生医療が本来の治療であることは明らかであります。しかし、現状においては下肢の再生治療は不可能です。義足を処方し、歩行訓練を行い、歩行能力を獲得し、家庭?社会復帰を果たす事が重要です。リハビリテーション医学はその治療法をも含めた障害医学を包括し、総合的に患者さんを捉え、能力障害を改善し、さらには社会的不利に対処するための医学です。

和歌山県立医科大学リハビリテーション科では、臓器別医療の枠にとらわれず、「全身を診る」?Whole Bodyの観点から障害者に対応し、日常生活動作やQOLの改善に取り組みます。もちろん関連機関のご助力をいただき、急性期から慢性期におけるあらゆる障害者が必要とする医療サービス提供に努め、その研究開発を行います。そのために、教育面では医師の本分である急性期における全身管理をする主治医としての医療知識技術から退院後の「かかりつけ医」としての能力をもつ医師の育成に努めます。

研究面では、リハビリテーション医学の臨床?基礎研究を積極的に行います。これまでも、科学研究費などをいただき研究にも邁進し、Archives of Physical Medicine and Rehabilitationを中心とした国際雑誌にその研究成果を報告しております。リハビリテーションの基本である、障害者の病態生理、運動療法の基礎、物理療法の作用機序と医学的意義、自律神経と障害の関連、脳血管障害?脊髄損傷?リウマチ等骨関節疾患のリハビリテーション、義肢装具の基礎研究、健常者の運動生理学とスポーツ障害、障害者スポーツ医学等幅広く研究しています。研究業績をご参照下さい

さらに、平成17年からは医学部修士課程の設置に伴い、理学?作業療法士、言語聴覚士等の教育にも取り組み始めております。

このように、臓器別医療の基本をふまえながらも、患者個人を全人的に理解し、治療するための臨床、教育、研究を行います。

教室紹介

和歌山県立医科大学リハビリテーション医学教室は、平成11年5月大学移転に伴い新設されました。初代教授には上好昭孝先生が就任され、当教室の基礎を構築されました。平成15年9月より田島文博が教授に就任し、さらなる飛躍を目指しております。

教授を含め医師スタッフは総勢5名と少数ではありますが、コメディカルスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など)と一丸となり、患者様第一主義をモットーにリハビリテーション医療を実践しています。そして「最良のリハビリテーションは和歌山から」を合い言葉に、日々臨床、教育、研究活動に励んでおります。

さらに、我々は共にリハビリテーション医療を実践してくれる仲間を求めています。臨床研修を終えたリハビリテーション医を目指す若い医師はもちろん、専門科が違ってもリハビリテーション医療に興味があり、今後リハビリテーション医を目指したい方も歓迎いたします。リハビリテーション医療は、障害者が対象であるため様々な分野の知識が必要であり、我々も常に様々な分野での知識を吸収したいと考えております。少しでも興味をお持ちの方は、是非ご連絡下さい。

尚、具体的な後期臨床研修のコースもご参照下さい。

写真:教室余暇風景 写真:教室余暇風景

教室余暇風景

臨床について

障害を持つ方、全てが当科の対象です。このため様々な疾患に対応しなければならず、 幅広い知識が必要となります。さらに、障害そのものから起こる特殊な病態もあり、 疾病そのものだけを診るのではなく、「全身を診る」Whole Bodyの観点から対応することが重要です。 当然、我々は身体機能改善、日常生活能力改善、社会復帰のために障害に対する様々な治療を行ないます。 さらに、障害に対するプライマリケア、全身の医学管理を行ない、障害者のかかりつけ医としての役割を果たしたいと考えています。 障害のさらなる悪化を防ぎ、障害者を全身的に診る事が我々リハビリテーション医の大きな役割の一つです。

本学リハ科初代教授上好昭孝先生の路線を引き継ぎ、産業医科大学リハ医学講座初代教授緒方甫先生の患者様第一主義に乗っ取り、浜松医科大学整形外科教授長野昭先生の「必死に患者さんを診る」という強い気持ちで臨床に取り組みます。

教育について

リハビリテーション医療は、ほぼ全ての科に関係するものであり、その考え方?知識?技術は、将来どんな科に進んでも必ず役立ちます。 我々は、多くの学生や若い医師にリハビリテーション医学を伝えたいと考えております。もちろん、高齢者や障害者の数が増加し、ますます必要とされてきているリハビリテーション医療のスペシャリストであるリハビリテーション医を育てる事も重要だと考えております。

リハビリテーション医を志す方はもちろん、それ以外の方も我々のもとでリハビリテーション医療を学んでほしいと考えております。

さらに、本学では大学院修士課程をもち、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の研究指導、卒後教育にも力を入れております。 4年生大学卒業の資格が無くても3年間の実務経験があれば入学資格はありますので、是非、ご応募頂ければ幸いです。

研究について

健常者と比べ障害者の身体や病態のしくみについては、判明していない点が数多く残されています。 そして、これらのしくみを医学的に解明していく事は今後のリハビリテーション医療の発展のためには必要不可欠です。

このため、我々は主に障害者を対象とし研究を進めています。もちろん、障害者のことを知る事は、健常者の正常生理解明にも役立ちます。 次に挙げた項目は、現在我々が進めている研究項目です。

  1. 障害者の交感神経活動について
  2. 障害者スポーツについて
  3. 障害者の免疫活動について
  4. 脊髄損傷者の褥創発生、治癒機序について
  5. 障害者の頚動脈?脳血流について
写真:車椅子駆動時の動作解析

車椅子駆動時の動作解析

写真:静的運動時における自律神経活動の測定

静的運動時における自律神経活動の測定

 

写真:呼気ガス分析

呼気ガス分析

写真:国際学会発表(京都)

国際学会発表(京都)

写真:前国際リハ学会会長との交流(和歌山城)

前国際リハ学会会長との交流(和歌山城)

 

社会的活動について

我々は、大分国際車椅子マラソン大会を始め、 様々なスポーツ大会においてメディカルチェックなど選手の健康管理や指導など実際の現場でのサポートも積極的に行なっております。 さらに、大会時のみでなく一部の選手においては日頃の医学的サポートも行なっております。

また、国際レベルの障害者スポーツ選手に対し、免疫力評価、動作解析、筋特性(筋力、筋持久力、 筋酵素など)評価など様々な研究も行なっております。この研究を通し、 障害者スポーツの安全性や有効性を科学的に証明し、 日本の障害者スポーツが更なる飛躍をするお手伝いをさせて頂いております。

我々は、障害者が積極的にスポーツに参加することは、残存機能を維持し心身の更なる能力を高めるためには、 大変重要なことであると考えております。しかしながら、様々な障害を持った方がスポーツを行なうためには、 しっかりした医学的なサポートは大変重要であるとも考えております。そして、 我々には障害者の方々が国際レベルの高度なスポーツを行なう場合においても、 しっかりとしたサポートが行なえるシステムを備えております。

さらに、地域医療の中核としての役割を果たすため、巡回診療、補装具の判定などの公的な活動を積極的に行っています。

写真:巡回診療

 

スタッフ紹介(2024年10月現在)

役職 氏名 専門分野 学会認定
准教授 幸田 剣 リハビリテーション全般
高次脳機能障害
摂食嚥下障害
排尿障害
痙縮
褥瘡
日本リハビリテーション医学会 指導責任者
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
(財)日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
身体障害者福祉法15条指定医
助教 村井 昂太 リハビリテーション全般
摂食嚥下障害
排尿障害
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
(財)日本パラスポーツ協会公認障がい者スポーツ医
身体障害者福祉法15条指定医
助教 南方 美由希 リハビリテーション全般
義肢?装具
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
助教 野中 都 リハビリテーション全般
義肢?装具
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
学内助教 岩橋 孝弥 リハビリテーション全般
痙縮
義肢?装具
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
学内助教 星野 晶子 リハビリテーション全般
痙縮
義肢?装具
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
学内助教 持田 賢志 リハビリテーション全般
義肢?装具
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
学内助教 岡本 明幸 リハビリテーション全般 義肢装具等適合判定医
非常勤医師 坂野 元彦 リハビリテーション全般
義肢?装具
高次脳機能障害
日本リハビリテーション医学会 指導責任者
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
(財)日本パラスポーツ協会公認障がい者スポーツ医
身体障害者福祉法15条指定医
非常勤医師 向井 裕貴 リハビリテーション全般
脊髄損傷
日本リハビリテーション医学会 専門医
義肢装具等適合判定医
(財)日本パラスポーツ協会公認障がい者スポーツ医
身体障害者福祉法15条指定医
非常勤医師 石亀 綾奈 リハビリテーション全般 日本リハビリテーション医学会 専門医
内科認定医
義肢装具等適合判定医

関連情報

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